よく一般の人から聞かれる質問に、「超ひも理論は10次元の理論だというが、10次元というのはいったいどういう世界なのか」というものがあります。
私たちの住んでいる4次元時空とちがい、アインシュタインが登場するまではイメージしづらかったはずです。それまで3次元が私たちの住む世界だというのが当たり前だったのですから、時空と空間と対等に混ざったものとしてとりあつかう4次元時空の考え方も、当初はわかりにくいものだったでしょう。でも、いまでは私たちは比較的スムーズに4次元時空を受け入れています。それと同様に10次元も受け止めればいいということを、これから述べたいと思います。
最初に話を分かりやすくするために、3次元空間の座標を考えます。3次元空間の座標のある点の位置を知るには、縦軸の成分x1、横軸の成分x2、高さの成分x3という3つの成分で表す必要があります。それと同様に、10次元の場合、1つの点を、x0からx9まで、10個の成分で表してやればいい。それだけの違いです。
その10個の成分の内容ですが、そのうち9個までは空間の成分を表し、残る1個は時間の成分を表します。空間の成分は3次元だと縦・横・高さですが、10次元の場合、その方向が9つあるというだけのことなのです。
では、超ひも理論では、この10次元時空のなかでひもがどのように運動すると考えるのか
たとえば、閉じたひもを考えますと、そのひもの形は関数、
Xμ(σ) μ=0,1,2,...,9
で表されます。μは10次元空間の各方向を、σは閉じたひも上の各点を表します。
いま、μが10次元だとすると、σの各点ごとに10個の量を決めてやれば、ひもがいま10次元時空のどこにいるかがわかるというわけです。
それだけなのです。もちろん、これだけでも実際にひもの挙動を計算するには相当複雑になりますが、ひもが10次元時空に住んでいるという要点は、結局これだけです。
私たちは、縦・横・高さを座標に取った3次元空間は紙の上で絵として描くことができます。それに比べ、それ以上の高次元は絵で描けません。たしかに、3次元なら素人目にもイメージしやすい。専門家だって、10次元を紙の上でイメージしろといわれても、できないのですから。
しかし重要なことは、こうやって10個の成分をもつ関数を持ってくると、それがとりもなおさず10次元時空のなかで運動しているひもを記述していることになる、ということなのです。
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